• 長野県議会で発言している高見沢敏光

  • 定例会・代表質問・一般質問 - 長野県議会議員 高見沢敏光

  • 長野県議会で高見沢敏光がおこなった定例会・代表質問・一般質問の内容を掲載。


平成22年9月定例会・一般質問

長野県農業と信州型事業仕分けについて

1:状況確認調査

 阿部知事は、市町村及び議会との信頼関係を強調されてきております。私も、信頼関係を築くことによって、お互いに建設的な議論ができ、現在の円高不安、経済雇用不安、猛暑が続いた異常気象による農業の生産不安など、本県のあらゆる経済産業の回復を図り、これらの不安を払拭し、県民の生活を安全安心で、より豊かにすることができるものと、意を同じくしている一人でございます。

 阿部知事が就任され、初めての定例会にあたり、私なりの疑問点を質しておきたいと思います。その疑問点を払拭することによって、知事が訴えてこられた「県民の思いが県政に反映される」こととなり、また、県議会としても二元代表制の一翼を担う立場から、知事と信頼関係の上に立った対話ができ、県民のための県政運営に、お互いに協調しながら、より良い長野県が築けるものと考えております。

 鳥獣被害問題は、日本の台所の食材を賄っている一大産地としての、長野県農業の根幹を、揺るがし兼ねない状況であります。昨年度では県全体で約10億円と、全国で二番目の農業被害額である本県の中で、レタス生産量日本一の川上村や南牧村を含む佐久地域は、2億5899万円と県下で最も大きい被害額となっています。一日も早く継続した被害対策を行い、農家の農業経営の安定を図ることが喫緊の課題です。

 しかし、国の事業仕分けで「国が担う事業ではない」と判断され、大幅に鳥獣被害防止総合対策交付金が削減されました。阿部知事は選挙期間中や本定例会においても、国の行政刷新会議で「事業仕分けに携った経験を生かし、信州型事業仕分けを実施する」と訴えてこられました。私は事業仕分けの目的や内容の説明というより、知事が携ってきた行政刷新会議事務局次長として、事業仕分けの指揮を取られてきた際のお考えについて、いくつか私が疑問とする点をお尋ねいたします。

1−1
 行政刷新会議事務局次長の仕事は、どのような仕事を担っていたのでしょうか。 また、どのような権限と裁量権を持っておられたのか。具体的にご説明を頂きたい。

1−2
 当事の阿部行政刷新会議 事務局次長を含め、ワーキンググループの皆さんは、長野県の鳥獣被害状況について、把握されていたのでしょうか。

1−3
 事業仕分けに先立ち、事業仕分けに携る職員や議員が、全国の各地に調査に行かれたとのことでありますが、この鳥獣被害の状況確認の調査は、どこの県で調査をされたのか。また、調査の結果はどのような報告であったのか、それぞれ知事にお尋ねいたします。

ページ上部へ戻る

2:行政刷新会議

行政刷新会議 事務局次長の仕事は多岐にわたっていたようでありますが、

 当時の行政刷新会議事務局は、私が知るところによりますと、次長は2名おり、1名は総括的な業務を担っており、阿部知事は、もう1名の次長として、ワーキンググループの取り回しを行ったと伺っています。そのワーキンググループの仕事は、現場の声を聞き、仕分けに反映する業務を担っており、市町村等に赴き、聞き取り等を行っていたとも伺っています。仕分け作業現場において、かなりの権限と裁量権はお持ちであったと伺えます。

 ワーキンググループでは、当時の阿部行政刷新会議 事務局次長の紹介により、長野県内のヒアリングを2件行っておられます。下伊那郡下条村の合併処理浄化槽等の見学と、佐久市の佐久総合病院等でヒアリングをされたと伺っています。それらも必要でありましょう。

 しかし、ワーキンググループでは、鳥獣被害状況の聞き取り調査の事実はないとのことですが、(しかし、鳥獣被害状況は把握されていたとお応えになられている。) 何故(被害があると認識しておられ)、近々長野県知事を目指そうとしていた、当時の阿部次長は、長野県の鳥獣被害についての調査をしなかったのでしょうか。

 「長野県を愛し、長野の土になり。骨をうずめる覚悟で戻ってきた。命がけで県政を変えていく」と熱い思いを持って知事選に出馬された阿部知事は、その出馬を決めた数カ月前であったにもかかわらず、全国で二番目に鳥獣被害額があったという事実を、愛する長野県の実態を、本当に知っておられたのか疑われます。

2−1
当事、長野県の被害状況を把握されていたとするならば、現場の声を聞き、仕分けに反映する業務を取り回されていた立場で、愛する長野県の現状把握の聞き取りを、何故しなかったのか。あるいは、グループに調査するべきと指示されなかったのか。当時を振り返り、阿部知事のお考えをお聞きします。

ページ上部へ戻る

3:鳥獣被害状況調査について

 長野県の明日を切り拓いていこうと考えていた阿部知事、当時の事務局次長としての対応には寂しさを感じます。当然ながら、自ら率先して長野県の被害状況の調査を行うべきであったのではないでしょうか。

 知事は代表質問の答弁で事業仕分けの評価について、「行政のムダの洗い直しなど、一定の効果があったと認識している」と応えておられました。その認識されている中に、農家の皆さんが、作付けから丹精こめて栽培してこられ、収穫を前にして野生鳥獣に畑をあらされ、明日の収入をも経たれ、生産意欲ですら失われようとする農業生産者が、国や県・市町村がともに支援してくれるなら、その苦しみに耐えながらも、産地の責任において、自らも相応の負担をしても防護柵等を設置し、もうひと頑張りしてみようと奮起されたのです。

3−1
その鳥獣被害防止総合対策交付金事業を、国の事業仕分けをリードしてきた、当時の刷新会議 事務局次長としての知事が、認識されていた事業仕分けの効果の中に、このように、事業仕分けによって予算がカットされ、長野県の農業生産者が苦しんでいる現実をどのようにお考えでしょうか。知事となられた現在、どのようにお感じになっておられるのか、改めてお伺いいたします。

 農業被害に対する認識もあったにもかかわらず、現場の実態把握をするべきでありながら、その調査もしないで、鳥獣被害防止総合対策交付金を「目的に沿った有効な金の使い方が出来ていない」との判断を下された。そのことは、ワーキンググループの取り回しをしていた、当時の阿部行政刷新会議 事務局次長の判断は、適切でなかったと考えられます。

 私は、信州型事業仕分けの具体的な説明云々より、国で携った経験を生かすというならば、そのときの指揮を取ってこられた阿部知事は、まず、適切でなかった判断の誤りを反省するべきと思います。誤りを反省し、訂正することが、県民や市町村及び県議会の信頼度と理解度が高まるのではないでしょうか。

3−2
 行政刷新会議で「事業仕分けに携った経験を生かし信州型事業仕分け」を実施するとされる知事は、まず、その「経験を生かす」としている当時の刷新会議の、少なくとも鳥獣被害状況の調査及び審査の仕方、鳥獣被害防止総合対策交付金の削減は、現在振り返ってみて、やはり間違いであったと、訂正をするべきではないでしょうか。知事にお伺いいたします。

 苦しいとき、迷ったときは原点に立ち戻るべきです。そのとき初めて新たな道が切り開かれると思います。国の事業仕分けの反省に基づき、勇気ある訂正と考えの修正は、県民誰もが称えるものと思います。

3−3
 ここで改めて知事は、知事が進めようとしている事業仕分けの根幹を正しく整理し、長野県が現在実施している政策評価を、阿部知事自身が事業分析したうえで、「誰がやるべき事業なのか」を知事自身が理解されたうえで、事業仕分けを本当に実施するべきか否かを、自らが判断するべきであると考えます。知事の所見をお伺いいたします。

ページ上部へ戻る

4:長野県農業の実態

 農水省が来年度概算要求を財務省に提出した骨子案を見る限り、鳥獣被害防止総合対策や基盤整備事業などは盛られておりますが、今後、国の政策コンテストや事業レビュー等で、見直しの可能性も十分予想されており、本県が担っている、日本の台所の食材を賄っている一大産地としての、長野県農業の衰退が非常に心配であります。

 生産基盤が整備できなければ農業生産は向上できません。阿部知事は知事就任後初の提案説明において、残念ながら長野県の農業政策について触れておりませんでした。知事が体験された国の事業仕分けの結果を見ても、知事の本県農業の理解度は大変薄いと感じざるを得ません。

 知事は長野県農業の実態について、もっともっと認識を深めて頂きたい。そのうえで、本県が担う産地の責任において、食糧の安定供給のために、農道・水路などの農業用施設や保冷施設など、老朽化してきている農業用施設等の更新・整備を含め、農業基盤整備事業の更なる整備拡充を。
 また、農業経営の安定と、安心して農業後継者を育てるため、また、同じ過ちを繰り返さないためにも、鳥獣被害防止総合対策交付金等を継続して実施することなど、継続ある安定した農業政策の実現を、県はもとより、国は責任をもって行うべきと、公約どおり要請行動を、速やかに取って頂きたい事を強く求めておきます。

 私は本日の一般質問で、敢えて事業仕分けの目的・内容や、手法手段などに触れずに、鳥獣被害等、農業に関わる国の事業仕分けを例に、課題の原点に戻り、知事が体験された事業仕分けの状況を取り上げて、その当時の知事の考えをお聞きいたしました。それは、本県の基幹産業である農業が、国の事業仕分けによって、大きく揺らぎ、国に対する信頼が損なわれ、本県農業の将来が危惧されているからであります。

 だからこそ、阿部知事が長野県で実施しようとしている信州型事業仕分けが、正しい考え方の下で行われなければ、ならないからであります。事業仕分けを実施しようとする根幹の趣旨や理念が間違っていては、知事が言われる「誰がやるべきか」や、「制度上の問題の整理」はできません。結果として県民の利益にならず、県民の信頼を損なうことになるからであります。

 知事は知事就任後、県下の市町村長の意見や、初の県議会である本定例会で、代表質問及び一般質問で議員の意見を聞き、信州型事業仕分けが自らの目玉の公約とは言え、多くの市町村長や県議会議員との間に、事業推進に当たり大きな齟齬があると気づかれたことと思います。改めて仕切りなおしをすることも、知事としての役目であり、知事が今後、県政を切り拓いていくための、大切な決断に繋がるものと考えます。
 仕切りなおしのお考えがあるか知事にお伺いいたします。

ページ上部へ戻る

5:おわりに

 私は今までの知事の答弁を聞く限り、現在県が色々実施している政策評価、県の監査、議会の決算委員会の審査、議会のチェック機能等で十分であると考えます。
 信州型事業仕分けは、慎重に対応するべきと指摘させていただきます。

 本日の質問によって、知事に対する信頼関係の構築の確認は、本日の答弁で全て解消できたとは、残念ながら言い難い面があったと言わざるを得ません。県民のための県政を行うためにも、単なる人気とりだけのパフォーマンスでなく、知事がめざそうとしている「市町村と議会とは、誠実な議論と対話を重ね、より良い県政の実現に向けて協働していきます。」とするには、更なる工夫と誠意ある答弁、姿勢が求められるのではないか、と感じたことを申し上げ、質問を終わります。

ページ上部へ戻る